「メニュー数は多いのに、なぜか利益が伸びない」 「どのメニューが儲かっていて、どれがお荷物なのかわからない」 飲食店を経営していると、メニュー構成に関するこうした悩みは尽きません。 感覚的に「あれは売れている」「これは出 […]
飲食店のABC分析とは?メニュー改善で利益を最大化する方法
2026/02/28
「メニュー数は多いのに、なぜか利益が伸びない」 「どのメニューが儲かっていて、どれがお荷物なのかわからない」
飲食店を経営していると、メニュー構成に関するこうした悩みは尽きません。 感覚的に「あれは売れている」「これは出ない」とわかっていても、それだけでは最適な判断はできません。
この課題を解決するのが「ABC分析」という手法です。 メニューごとの売上データを整理し、A・B・Cの3つのランクに分類するだけで、どのメニューに力を入れるべきか、どのメニューを見直すべきかが明確になります。
この記事では、ABC分析の基本的な考え方から具体的なやり方、分析結果をメニュー改善や利益の最大化につなげる実践的な方法まで、わかりやすく解説します。
この記事をおすすめする方:
- メニュー数が増えてきたが、どれが利益に貢献しているか把握できていない方
- 感覚ではなくデータに基づいてメニューの見直しや入れ替えを判断したい方
- 売上はあるのに利益が残らず、メニュー構成に課題を感じている方
ABC分析とは?飲食店のメニュー管理に活かせる理由

まずは、ABC分析がどのようなもので、なぜ飲食店の経営改善に役立つのかを理解しましょう。 感覚に頼りがちだったメニュー評価を、客観的なデータで裏づけるための基本となる考え方です。
ABC分析の基本的な考え方と仕組み
ABC分析とは、在庫管理や販売戦略の分野で広く使われている分析手法の一つです。 この手法は**「パレートの法則」**という考え方がベースになっています。
パレートの法則とは、「全体の成果の大部分は、構成要素のうちごく一部が生み出している」という経験則で、「80:20の法則」とも呼ばれます。 飲食店に当てはめると、「売上の約8割は、全メニューのうち約2割の人気メニューが生み出している」という傾向が見られることがあります。
ABC分析では、この法則をもとに売上への貢献度が高い順からメニューをA・B・Cの3つのグループにランク分けします。 どのメニューが重要で、どこに優先的にリソースを割くべきかを明確にできるのが、この手法の強みです。
なぜ飲食店のメニュー管理にABC分析が有効なのか
メニューは、飲食店の売上と利益を左右する最も重要な要素です。 しかし、どのメニューが本当にお店の「稼ぎ頭」なのかを正確に把握できているオーナー様は、意外と多くありません。
たとえば、「よく出る人気メニュー」が、実は原価が高く利益にほとんど貢献していなかったというケースは珍しくありません。 逆に、目立たないメニューが実は高い利益率を持っていることもあります。
ABC分析を行えば、こうした実態がデータとして一目瞭然になります。 どのメニューに力を入れるべきか、どのメニューを見直すべきか。 勘や経験だけに頼るのではなく、客観的な数字という羅針盤を持つことが、安定した経営判断につながります。
ABC分析で見えてくる3つのランク(A・B・C)の意味
ABC分析では、メニューを売上への貢献度に応じて3つのランクに分類します。 それぞれのランクが持つ意味と位置づけを正しく理解することが、適切な改善策を導き出す土台になります。
| ランク | 売上構成比(目安) | 特徴と位置づけ |
|---|---|---|
| Aランク | 上位0〜75% | 最重要商品群(売れ筋)。お店の売上の大部分を支える看板メニュー。常に高い品質を維持し、品切れを起こさない管理が求められます。 |
| Bランク | 上位75〜95% | 準主力商品群。安定した売上はあるものの、Aランクには及ばないメニュー。工夫次第でAランクに成長する可能性を秘めています。 |
| Cランク | 上位95〜100% | 見直し対象商品群。売上への貢献度が低いメニュー。品揃えとしての役割はあるかもしれませんが、改良や廃止を検討すべき対象です。 |
飲食店のメニューをABC分析する具体的な手順

ここからは、実際にABC分析を行うための具体的な手順を4つのステップで解説します。 POSレジのデータや日々の売上記録があれば、Excelを使って誰でも分析を始められます。
ステップ①:メニューごとの売上データを集計する
まずは、分析の土台となるデータを集めます。 分析期間は、季節メニューや一時的なキャンペーンの影響を考慮し、最低でも1ヶ月、できれば3ヶ月程度の期間で見るのがおすすめです。
<必要なデータ項目>
- メニュー名
- 販売数(期間中の合計)
- 販売単価(税抜)
これらのデータをExcelなどの表計算ソフトに一覧でまとめます。 この段階で、各メニューの「売上高(販売数 × 販売単価)」もあわせて計算しておきましょう。 POSレジを導入していない場合でも、手書きの伝票や売上日報から集計すれば分析は十分に可能です。
ステップ②:売上高の高い順に並べて構成比を算出する
次に、作成した一覧表を売上高の高い順に並べ替えます。 そして、各メニューが全体の売上にどれだけ貢献しているかを示す「構成比」と、上位から順にその比率を積み上げた「累計構成比」を計算します。
<計算式>
- 構成比(%) = 各メニューの売上高 ÷ 全メニューの売上高合計 × 100
- 累計構成比(%) = 上位のメニューから順に構成比を足し合わせたもの
Excelの並べ替え機能や計算式を使えば、これらの作業は短時間で完了します。 この累計構成比が、次のステップで行うランク分けの基準になります。
ステップ③:累計構成比をもとにA・B・Cランクに分類する
算出した累計構成比をもとに、各メニューをA・B・Cの3つのランクに振り分けます。 ランク分けの基準は店舗の状況に応じて調整できますが、一般的には以下の区分が使われます。
<ランク分けの基準(例)>
- Aランク:累計構成比 0〜75%のメニュー
- Bランク:累計構成比 75〜95%のメニュー
- Cランク:累計構成比 95〜100%のメニュー
この基準を適用し、一覧表にランクを記入すれば、ABC分析は完了です。 どのメニューがお店の売上を支えているのかが、データとして明確に見えるようになります。
【実践例】居酒屋10品のメニューでABC分析をやってみよう
ここでは、架空の居酒屋メニュー10品を例にABC分析表を作成してみます。 このように一覧化することで、お店の売上構造がひと目で把握できます。
| No | メニュー名 | 販売数 | 単価(円) | 売上高(円) | 構成比 | 累計構成比 | ランク |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 刺身盛り合わせ | 150 | 1,280 | 192,000 | 28.1% | 28.1% | A |
| 2 | 若鶏の唐揚げ | 250 | 580 | 145,000 | 21.2% | 49.3% | A |
| 3 | 特製だし巻き卵 | 180 | 680 | 122,400 | 17.9% | 67.2% | A |
| 4 | 生ビール | 200 | 550 | 110,000 | 16.1% | 83.3% | B |
| 5 | ポテトサラダ | 80 | 480 | 38,400 | 5.6% | 88.9% | B |
| 6 | 焼き鳥盛り合わせ | 30 | 980 | 29,400 | 4.3% | 93.2% | B |
| 7 | シーザーサラダ | 40 | 680 | 27,200 | 4.0% | 97.2% | C |
| 8 | 枝豆 | 50 | 380 | 19,000 | 2.8% | 100.0% | C |
| 9 | お茶漬け | 10 | 520 | 5,200 | 0.8% | − | C |
| 10 | 漬物盛り合わせ | 5 | 450 | 2,250 | 0.3% | − | C |
| 合計 | 690,850 |
この分析表から、「刺身盛り合わせ」「若鶏の唐揚げ」「特製だし巻き卵」のわずか3品で、売上全体の約67%を占めていることがわかります。 この3品がお店の売上を支えるAランクメニューであり、品質管理と販促の最優先対象です。
ABC分析の結果をメニュー改善に活かす方法

分析は、結果を具体的なアクションにつなげてこそ意味があります。 各ランクの特性を正しく理解した上で、それぞれに合った効果的な改善策を実行していきましょう。
Aランク(売れ筋商品):積極的に販促し、品質を維持する
Aランクのメニューは、お店の顔であり売上の柱です。 最優先すべきは、この人気を確実に維持し、さらに伸ばしていくことです。
<具体的なアクション>
- メニューブックの写真や説明文をより魅力的にブラッシュアップする
- 品切れを起こさないよう、在庫管理と仕込みの体制を徹底する
- SNSや店頭POPでおすすめメニューとして積極的にアピールする
- 味や盛り付けのクオリティにブレが出ないよう、調理手順を標準化する
Aランクメニューの品質を守り続けることは、顧客満足度の向上とリピーター獲得に直結します。
Bランク(準売れ筋商品):Aランクに育てる施策を考える
Bランクのメニューは、Aランクに成長するポテンシャルを秘めた「金の卵」です。 少しの工夫で人気商品に化ける可能性があるため、「育てる」という視点で取り組むことが重要です。
<具体的なアクション>
- セットメニューに組み込み、注文される機会を意図的に増やす
- スタッフからお客様への口頭でのおすすめ(レコメンド)を強化する
- 期間限定のキャンペーンや割引で注目を集める
- お客様の声を参考に、味付けや見た目を改良してみる
Bランクを強化することで、Aランクだけに依存しない安定した売上構造をつくることができます。
Cランク(不採算商品):改良・値上げ・廃止を検討する
Cランクのメニューは売上への貢献度が低く、何らかの見直しが必要です。 ただし、すべてを即座に廃止すればよいというわけではありません。段階的に判断していくことが大切です。
<具体的なアクション>
- 改良:原価を見直したり、ポーションを調整して利益率を改善する
- 値上げ:利益を確保できる価格への改定が可能か検討する
- セット化:AランクやBランクの商品と組み合わせて販売する
- 廃止:上記の施策でも改善が見込めない場合や、調理の手間が大きすぎる場合は思い切ってメニューから外す
Cランクの整理は、食材ロスや調理工程の非効率を解消し、経営資源を本当に重要なメニューへ集中させる効果があります。
ランク別の改善アクション一覧表
各ランクで取るべきアクションを一覧にまとめました。 自店のメニュー改善を検討する際の参考にしてください。
| ランク | 現状と課題 | 主な改善アクション |
|---|---|---|
| Aランク | 売上の大黒柱。品質維持が最重要課題 | メニューブックで目立たせる、在庫管理の徹底、品質の標準化と維持 |
| Bランク | 安定しているが伸びしろあり。Aランクへの育成が目標 | セットメニュー化、スタッフによるおすすめ強化、期間限定プロモーション |
| Cランク | 売上貢献度が低い。手間やコストの負担が大きい場合も | 原価・価格の見直し、セット販売での組み合わせ、メニューの廃止を検討 |
ABC分析だけでは不十分?利益を最大化するための応用テクニック

基本的なABC分析は「売上高」を基準に行いますが、経営の核心に迫るためには「利益」の視点を加えることが欠かせません。 ここでは、分析の精度をさらに高め、利益の最大化につなげるための応用テクニックをご紹介します。
売上だけでなく「粗利額」でもABC分析を行う重要性
売上が高いメニューが、必ずしもお店に利益をもたらしているとは限りません。 原価が高ければ、いくら売れても手元に残る利益(粗利)はわずかです。 本当に儲かっているメニューを見極めるには、「粗利額」を基準にしたABC分析が非常に有効です。
| メニュー | 売上高 | 原価 | 粗利額 | 売上ランク | 粗利ランク |
|---|---|---|---|---|---|
| Aランチ | 400,000円 | 180,000円 | 220,000円 | 1位 | 2位 |
| Bランチ | 350,000円 | 100,000円 | 250,000円 | 2位 | 1位 |
この例では、売上ではAランチが上回っていますが、粗利額ではBランチが逆転しています。 つまり、お店の本当の「稼ぎ頭」はBランチだったということです。
売上高ベースと粗利額ベース、両方の視点でABC分析を行うことで、より実態に即した経営判断が可能になります。
クロスABC分析|売上×粗利の2軸でメニューを評価する
さらに一歩踏み込んだ手法として「クロスABC分析」があります。 これは、「人気度(販売数)」と「利益貢献度(粗利額)」の2つの軸でメニューを4タイプに分類する考え方で、「メニューエンジニアリング」とも呼ばれます。
| 分類 | 人気度 | 利益貢献度 | 特徴と戦略 |
|---|---|---|---|
| スター(Star) | 高い | 高い | 看板メニュー。品質維持と積極的な販促を継続する |
| プラウホース(Plowhorse) | 高い | 低い | 人気はあるが儲けが少ない。原価の見直しや価格改定を検討する |
| パズル(Puzzle) | 低い | 高い | 利益率は高いが注文数が少ない。おすすめ強化や見せ方の工夫で人気度アップを狙う |
| ドッグ(Dog) | 低い | 低い | 人気も利益貢献度も低い。速やかな改良、またはメニューからの廃止を検討する |
単純なABC分析では見えなかった「人気だが儲からないメニュー」や「隠れた高利益メニュー」が、この2軸分析によって浮かび上がります。
分析結果をメニューブックのレイアウトや接客トークに反映する
分析して終わりでは、利益は変わりません。 結果を日々の営業活動に落とし込むことで、初めて成果につながります。
たとえば、Aランクメニューや「スター」商品は、メニューブックの中で写真付きで大きく掲載し、お客様の目に入りやすい位置に配置します。 「パズル」に該当する利益率の高いメニューは、スタッフが「こちらもおすすめです」と一言添えるだけで、注文数が変わってきます。
分析結果をスタッフ全員で共有し、メニューブックのデザインと接客トークの両面から反映していくことが、利益を最大化するための最後のピースです。
ABC分析を継続して効果を出すためのポイント

ABC分析は一度実施して終わりではありません。 お店の状況やお客様の嗜好は常に変化していくため、定期的に繰り返すことで初めて効果を最大限に発揮できます。
分析の頻度はどのくらいが適切か(月次・季節ごと)
最適な分析頻度は業態によって異なりますが、まずは月次で実施するのがおすすめです。 毎月行うことで、新メニューの効果測定やキャンペーン施策の成果をタイムリーに把握できます。
また、季節メニューを多く扱うお店では、春夏秋冬の四半期ごとにも分析を行い、次のシーズンのメニュー構成に反映させると効果的です。 「前年の夏はどのメニューがAランクだったか」というデータが蓄積されていけば、年を重ねるごとにメニュー戦略の精度が上がっていきます。
分析結果をスタッフと共有して現場の行動を変える
分析結果をオーナーや店長だけが把握していても、現場は変わりません。 大切なのは、調理スタッフやホールスタッフ全員と結果を共有し、日々のオペレーションに反映させることです。
「このメニューは利益率が高いから、お客様にもう一押ししよう」 「Cランクのこのメニューはロスが多いから、発注量を見直そう」
こうした具体的な意識がチーム全体に浸透して初めて、分析結果は現場の行動変容と利益改善という成果につながります。
売上日報・日次損益と組み合わせて精度を高める
ABC分析は、メニュー単位の強みと弱みを明らかにする「ミクロな視点」の分析です。 これを、店舗全体の売上や利益を俯瞰する「マクロな視点」である売上日報や日次損益管理と組み合わせることで、経営分析の精度は格段に高まります。
たとえば、「全体の客単価が下がっている原因は、利益率の低いCランクメニューの注文割合が増えたからではないか」といった仮説を立て、データで検証することが可能になります。ミクロとマクロ、両方の視点を持つことが、データに基づいた強い店舗経営への近道です。
まとめ|ABC分析でメニューの「選択と集中」が利益を変える

ABC分析は、飲食店のメニュー戦略を「勘」から「確信」へと変えるための強力な手法です。 どのメニューがお店の利益に本当に貢献しているのかをデータで可視化することで、改善すべき方向性が明確になります。
- Aランクの商品はさらに磨きをかけて、売上の柱を盤石にする
- Bランクの商品はAランクへ育てる工夫を重ねる
- Cランクの商品は改良・廃止を含めた見直しを行う
この「選択と集中」を継続的に実践していくことが、食材ロスの削減、オペレーションの効率化、そして最終的な利益の最大化につながります。
まずは本記事で紹介した手順に沿って、自店のメニュー分析を始めてみてください。 データに基づいた小さな一歩が、お店の利益構造を大きく変えるきっかけになるはずです。
メニュー別の売上・利益分析をもっと手軽に|「da Vinci」とは

「ABC分析の重要性はわかったが、日々の営業に追われてデータ集計の時間が取れない」 そんなオーナー様におすすめしたいのが、飲食店専用の経営支援ツール「da Vinci(ダ・ヴィンチ)」です。
メニュー別の売上・粗利を自動で集計 POSレジと連携し、メニューごとの売上高や粗利額を自動で集計。手作業でのデータ整理から解放されます。
ABC分析をワンクリックで実行 蓄積されたデータをもとに、売上ベース・粗利ベースのABC分析を瞬時に可視化。分析にかかる時間を大幅に削減できます。
日次損益との連動で経営全体を把握 メニュー単位のミクロ分析と、店舗全体の日次損益というマクロ分析を一つのシステムで一元管理。データに基づいた経営判断をトータルでサポートします。
分析に時間をかけるのではなく、戦略を考える時間を作り出す。 da Vinciで、利益を最大化するメニュー経営を始めてみませんか。
この記事を書いたライター
ダヴィンチ編集部
「データ入力」から「日次PL」、そして「経営の打ち手」まで、ワンストロークで。
ダ・ヴィンチは、飲食店経営の現場課題を骨の髄まで知るオーナーたちが開発した、現場目線の経営支援ツールです。
飲食店特有の煩雑な作業や“勘どころ”を最短ルートでデジタル化し、日々の売上・原価・人件費などのデータを入力するだけで、毎日のPL(損益計算書)が自動作成され、即座に経営判断に活かせます。
“現場の感覚”と“データ”を融合させ、現場力を最大化するためのツール、それが ダ・ヴィンチ です。詳しくはこちら