「メニュー数は多いのに、なぜか利益が伸びない」 「どのメニューが儲かっていて、どれがお荷物なのかわからない」 飲食店を経営していると、メニュー構成に関するこうした悩みは尽きません。 感覚的に「あれは売れている」「これは出 […]
飲食店の日次損益とは?計算方法と毎日の利益を見える化するコツ
2026/02/19
「毎日忙しく営業して、売上もそこそこある。なのに月末になると思ったほど利益が残っていない」
飲食店経営でこうした壁にぶつかるオーナー様は少なくありません。 その原因の多くは、日々の損益を把握しないまま1ヶ月を過ごしてしまうことにあります。
この問題を解決する鍵が「日次損益」です。 毎日の売上から原価・人件費などのコストを差し引き、その日いくら利益が出たのかを把握する。 この習慣を持つだけで、経営判断のスピードと精度は大きく変わります。
本記事では、日次損益の基本的な考え方から具体的な計算方法、そして毎日の利益を見える化して経営改善につなげる実践的なコツまで、わかりやすく解説します。
そもそも日次損益とは?飲食店に必要な理由

まずは、日次損益管理がなぜ飲食店経営に欠かせないのか、その基本から押さえていきましょう。 日々の数字を把握する習慣こそが、安定した経営への第一歩です。
日次損益の意味と月次管理との違い
日次損益とは、その名の通り「1日単位」で売上からコストを差し引き、利益または損失を算出するものです。 一方、多くの企業で一般的に採用されている月次決算は「1ヶ月単位」で損益を把握します。
飲食店は天候や曜日、イベントなどによって日々の売上変動が大きい業態です。 月次管理だけに頼っていると、問題が起きてから気づくまでに最大で1ヶ月のタイムラグが生じてしまいます。
| 比較項目 | 日次損益管理 | 月次損益管理 |
|---|---|---|
| 管理単位 | 1日ごと | 1ヶ月ごと |
| 目的 | 日々の経営状態の把握と迅速な意思決定 | 月単位の業績評価と財務報告 |
| メリット | 問題の早期発見・即時対応が可能。スタッフのコスト意識が向上する | 経営全体の大きな流れを俯瞰できる |
| デメリット | 毎日の集計に手間がかかる | 問題の発見が遅れやすい |
どんぶり勘定が招く「売上はあるのに利益が残らない」問題
「今日は売上が良かった」と安心しているだけでは、経営の実態は見えてきません。 いくら売上が高くても、それ以上に食材費や人件費がかさんでいれば、結果は赤字です。
どんぶり勘定の怖さは、こうした「見えない損失」の蓄積に気づけないことにあります。 月末に通帳を見て初めて「思ったより残っていない」と焦る。 この状態が続けば、気づいた時には資金繰りが行き詰まっていたというケースも珍しくありません。
日次損益を把握するメリット|経営判断のスピードが変わる
日次損益を毎日確認する習慣を持つだけで、経営判断の質とスピードは格段に変わります。 具体的には、以下のようなメリットが挙げられます。
- 問題の早期発見:原価の高騰や人件費の過剰配置など、利益を圧迫する要因をその日のうちに発見できます。
- 迅速な改善アクション:問題を見つけたら翌日からすぐに対策を打てるため、損失の拡大を最小限に抑えられます。
- 的確な目標設定:日々の実績データに基づいた、現実的で達成可能な売上目標・利益目標を設定できます。
- スタッフの意識改革:数字を店舗全体で共有することで、スタッフ一人ひとりにコスト意識や経営感覚が芽生えます。
飲食店の日次損益の計算方法|基本の公式と3つのステップ

ここからは、具体的な計算方法を見ていきましょう。 難しい会計知識は必要ありません。シンプルな公式と3つのステップで、誰でも日次損益を算出できます。
日次損益の基本公式|売上 − 原価 − 人件費 − 固定費按分
日次損益を求める公式は、非常にシンプルです。
日次損益 = ①日次売上 − ②日次原価 − ③日次人件費 − ④日次固定費
大切なのは、この公式を構成する各項目を一つずつ正確に把握することです。 以下のステップに沿って、順番に見ていきましょう。
ステップ①:1日の売上を正確に記録する
最初のステップは、その日の総売上高を正確に把握することです。 POSレジを導入している店舗であれば、閉店後のレジ締めで簡単に集計できます。
ここでのポイントは、売上合計だけで終わらせないことです。 客数、客単価、商品別の売上データもあわせて記録しておくと、後の分析で大きな武器になります。
ステップ②:その日の食材原価(変動費)を算出する
食材原価は、売上の増減に連動して変わる「変動費」の代表格です。 ただし、毎日厳密に棚卸しを行うのは現実的ではありません。 以下の方法を組み合わせて、実態に近い数値を算出しましょう。
- 理論原価の算出:各メニューのレシピ原価を算出し、その日の販売数を掛け合わせて計算します。
- 簡易在庫チェック:肉・魚・酒類など原価への影響が大きい品目に絞り、開店前と閉店後の在庫差を確認します。
- ロス率の考慮:過去の実績データから調理ロスや廃棄ロスの割合を把握し、理論原価に上乗せして補正します。
ステップ③:人件費と固定費を日割りで計算する
人件費は日によって変動しますが、家賃や光熱費といった固定費は月単位で発生します。 これらは営業日数で割り、1日あたりの金額に按分して計算します。
| 経費項目 | 算出方法 |
|---|---|
| 人件費 | その日の勤怠データをもとに、スタッフの実働時間×時給で算出する |
| 地代家賃 | 月額家賃 ÷ その月の営業日数 |
| 水道光熱費 | 前月分の請求額 ÷ その月の営業日数 |
| その他固定費 | 減価償却費、リース料、保険料などを月額換算し、営業日数で割る |
【計算例】1日の売上15万円の店舗で日次損益を出してみよう
ここまでの内容を、実際の数字に当てはめて計算してみましょう。 1日の売上が15万円だった店舗を例に見ていきます。
| 項目 | 金額 | 計算内訳 |
|---|---|---|
| ①日次売上 | 150,000円 | − |
| ②日次原価 | 48,000円 | 売上の32%と仮定 |
| ③日次人件費 | 45,000円 | 売上の30%と仮定 |
| ④日次固定費 | 15,000円 | 家賃・光熱費などの日割り合計 |
| 日次損益(利益) | 42,000円 | ①−(②+③+④) |
この日の営業では、42,000円の利益が出たことがわかります。 こうして毎日の利益を数字で確認する習慣が、経営の精度を高めていく土台になります。
日次損益の計算に必要な数値と管理項目

日次損益をより正確に算出し、経営改善に活かしていくためには、いくつかの重要な経営指標を理解しておく必要があります。 中でも「FLコスト」は、飲食店の利益構造を左右する最重要指標です。
原価率の考え方と飲食店の目安(30%前後)
原価率とは、売上高に占める食材原価の割合を示す指標です。 飲食店では一般的に30%前後が目安とされています。
原価率(%)= 食材原価 ÷ 売上高 × 100
ただし、業態によって適正な原価率は異なります。 自店の業態に合った目安を把握しておくことが大切です。
| 業態 | 原価率の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| カフェ・喫茶店 | 25〜35% | ドリンク中心で原価は低めだが、回転率の確保が重要 |
| ラーメン店 | 30〜35% | 材料の種類は少ないが、スープの仕込みにコストがかかる |
| 居酒屋 | 30〜40% | 食材とドリンクの比率バランスで調整が可能 |
| レストラン | 35〜45% | 高品質な食材を使用するため、原価率は高くなる傾向 |
人件費率の考え方と飲食店の目安(30%前後)
人件費率は、売上高に占める人件費の割合です。 原価率と同様に、30%前後が一つの目安とされています。
人件費率(%)= 人件費 ÷ 売上高 × 100
ここで注意すべきなのは、人件費にはスタッフの給与だけでなく、社会保険料や交通費、福利厚生費なども含まれるという点です。 これらを含めた総額で管理しないと、実態よりも低い数値で安心してしまう危険があります。
FLコスト(原価+人件費)を60%以下に抑える重要性
FLコストとは、F(Food=食材原価)とL(Labor=人件費)を合計した費用のことです。 この FLコストが売上に対してどれだけの割合を占めるかを示す「FL比率」は、飲食店経営において最も注視すべき指標といえます。
FL比率が60%を超えると、家賃や光熱費などの固定費を差し引いた後に利益がほとんど残らなくなります。 日次損益を管理する際は、毎日このFL比率を意識しながら数字を確認する習慣をつけましょう。
家賃・光熱費など固定費の日割り按分方法
固定費は、売上の多寡に関わらず毎月一定額が発生する費用です。 日次損益を計算する際には、これらを営業日数で割り、1日あたりの金額に按分して計上します。
| 固定費の項目 | 月額(例) | 営業日数(例) | 日割り額(例) |
|---|---|---|---|
| 地代家賃 | 300,000円 | 25日 | 12,000円 |
| 水道光熱費 | 100,000円 | 25日 | 4,000円 |
| 通信費 | 20,000円 | 25日 | 800円 |
| その他経費 | 50,000円 | 25日 | 2,000円 |
| 合計 | 470,000円 | − | 18,800円 |
この日割り固定費を把握しておくことで、「今日の売上でコストを賄えたのか」が毎日判断できるようになります。
日次損益を毎日の利益の見える化につなげるコツ

日次損益を計算しても、ただ記録して終わりでは経営は変わりません。 大切なのは、数字を「見える化」し、日々の経営改善アクションにつなげていくことです。 ここでは、現場で無理なく実践できる3つのコツをご紹介します。
売上日報に日次損益の記録欄を追加する
多くの飲食店では、毎日の閉店後に売上日報を作成しているはずです。 この日報に、原価・人件費・日次損益を記録する欄を追加するだけで、日次損益管理を始めることができます。
新しい業務を一から作るのではなく、既存のフローに組み込むことがポイントです。 「レジ締め→日報記入→日次損益の記録」という流れを毎日のルーティンにしてしまえば、無理なく習慣化できます。
数字をグラフ化して利益のトレンドを一目で把握する
Excelやスプレッドシートを活用すれば、日々の損益データを簡単にグラフ化できます。 数字の羅列だけでは見えにくい利益の推移やパターンも、グラフにすることで一目瞭然になります。
たとえば、曜日ごとの利益のばらつきや、雨の日と晴れの日の利益差、特定のキャンペーン期間中の変化など、データの裏にある傾向を視覚的に捉えられるようになります。
日次損益を朝礼・終礼でスタッフと共有する効果
算出した日次損益は、経営者や店長だけの情報にとどめず、スタッフ全員と共有しましょう。
「昨日は目標利益を達成できた」「今日は原価率が高めだから、食材ロスに気をつけよう」 こうした具体的な数字をベースにした会話が現場で自然に生まれるようになります。
数字を共有することで、スタッフ一人ひとりにコスト意識が芽生え、チーム全体で利益を追求する文化が育っていきます。 この「全員で数字を見る」習慣こそが、強い店舗をつくる大きな原動力になります。
日次損益の活用で気づける経営課題と改善アクション

日次損益のデータは、蓄積すればするほど経営課題を浮かび上がらせてくれる貴重な情報源です。 ここでは、データから読み取れる代表的な課題と、それに対する具体的な改善アクションを見ていきましょう。
「売上は高いのに赤字の日」が示すコスト構造の問題
週末やイベント日など売上が好調だったにもかかわらず、日次損益を見ると赤字だった。 こうしたケースは、売上以上にコストが膨らんでいることを示す明確な警告サインです。
忙しさのあまり食材のロスが増えていたり、ヘルプスタッフを呼びすぎて人件費がかさんでいたりと、売上の裏側でコストが制御できなくなっている可能性があります。
| 課題 | 考えられる原因 | 改善アクション |
|---|---|---|
| 売上は高いが利益が低い | 食材のオーバーポーション、調理ミスによる廃棄、過剰な人員配置 | レシピと盛り付け量の再確認、調理トレーニングの実施、シフト人数の見直し |
曜日別・時間帯別の利益傾向から最適なシフトを組む
日次損益データを蓄積していくと、曜日や時間帯ごとの利益パターンが見えてきます。
たとえば、「火曜日のランチタイムは売上が低い割に人件費がかかっている」という事実がデータで判明すれば、その時間帯のシフト人数を調整して人件費を最適化できます。 逆に、利益が出やすい金曜ディナーには人員を厚く配置し、機会損失を防ぐといった判断も可能です。
感覚ではなくデータに基づいて人員配置を行うことで、無駄な人件費を削減しながら利益率を着実に改善できます。
メニュー別の利益貢献度を把握して構成を見直す
日次損益の管理とあわせて、メニュー別の販売データを分析することも非常に効果的です。 どのメニューが利益に貢献し、どのメニューが利益を圧迫しているのかを数字で把握できます。
| メニュー名 | 販売価格 | 原価 | 粗利 | 利益貢献度 |
|---|---|---|---|---|
| A定食 | 1,000円 | 300円 | 700円 | ◎(看板メニュー) |
| Bパスタ | 1,200円 | 500円 | 700円 | ○ |
| Cセット | 1,500円 | 800円 | 700円 | △(原価率が高い) |
| Dドリンク | 500円 | 50円 | 450円 | ◎(利益率が高い) |
粗利額が同じ700円でも、原価率で見るとA定食は30%、Cセットは53%と大きな差があります。 利益貢献度の高いメニューを積極的におすすめしたり、原価率の高いメニューの価格や内容を見直したりすることで、店舗全体の利益構造を改善していくことができます。
まとめ|日次損益の把握が飲食店の利益体質をつくる

日次損益管理は、単なる毎日の記録作業ではありません。 お店の経営状態を「見える化」し、問題を早期に発見して改善につなげるための、経営の根幹を支える仕組みです。
どんぶり勘定から脱却し、日々の数字と向き合う習慣を持つことで、漠然とした経営への不安は、データに裏づけられた確かな手応えに変わっていきます。
最初は少し手間に感じるかもしれません。 しかし、習慣化さえすれば、必ずお店の「利益体質」への変革につながります。 まずはこの記事で紹介した計算方法を参考に、今日から小さな一歩を踏み出してみてください。
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この記事を書いたライター
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