飲食店の人件費率の目安は?業態別平均・FLコスト・正しい下げ方を徹底解説
2026/05/30
飲食店経営において、人件費は売上の25〜35%が目安と言われています。しかし「うちの店の人件費率が適正なのかよくわからない」「どこまで下げていいのか判断できない」と悩んでいる経営者の方は多いのではないでしょうか。
人件費を無闇に削れば離職やサービス低下を招き、逆に放置すれば利益が圧迫される——そのバランスを取ることこそが、飲食店経営の核心です。
この記事では、以下の内容を網羅的に解説します。
- 人件費率の正しい計算方法と定義
- 業態別の人件費率・FL率の平均データ
- FLコストの目安とランク別の基準
- 人件費率を管理する4つの指標
- 人件費率を適正化する5つの方法
- 削減しすぎた場合のリスク
- 生産性を上げて結果として人件費を下げる方法
自店舗の人件費率を正しく把握し、適正化への第一歩を踏み出していただければ幸いです。
飲食店の人件費率とは?正しい定義と計算方法

人件費率とは、売上高に対して人件費がどれくらいの割合を占めているかを示す指標です。計算式はシンプルです。
人件費率(%)= 人件費 ÷ 売上高 × 100
例えば、月間売上が300万円で人件費が90万円であれば、人件費率は30%になります。
人件費に含まれるものは何か
多くの経営者が見落としがちなのが、人件費の定義です。「スタッフに支払う給与・時給だけ」と思っていると、実際の人件費率を過小評価してしまいます。人件費には以下のすべてが含まれます。
項目 内容 給与・賃金 正社員・アルバイト・パートへの基本給・時給 各種手当 通勤手当・役職手当・残業手当・皆勤手当など 賞与 正社員への賞与・インセンティブ 法定福利費 健康保険・厚生年金・雇用保険など会社負担分 退職金積立 退職金制度がある場合の積立費用
特に法定福利費は給与の約15%程度が会社負担となるため、「人件費率30%のつもりが実際は35%超えていた」というケースは珍しくありません。正確な計算のために、すべての費目を含めて把握しましょう。
人件費率の目安は25%〜35%
飲食店における人件費率の目安は一般的に25%〜35%とされています。ただしこれはすべての業態を平均した数値であり、業態によって適正値は大きく異なります。「30%以内に抑えなければならない」という固定観念は捨て、自店の業態に合わせた目標設定が重要です。
業態別の人件費率の目安と平均データ
飲食店の人件費率は業態によって大きく異なります。各業態に適した目標を設定するために、業態別の平均データを把握しておきましょう。
飲食店の業態別平均FL率・人件費率一覧
カシオ独自の統計データより、全国小規模飲食店の業態別平均利益率・FL率(原価率・人件費率)をご紹介します。
業態 FL率 原価率 人件費率 ラーメン 65% 35% 30% 居酒屋 66% 38% 28% 焼肉 63% 35% 28% 喫茶 50% 25% 25% ファーストフード 65% 35% 30% 西洋料理 65% 35% 30% レストラン 66% 38% 28% 日本料理 63% 35% 28% 東洋・エスニック 50% 25% 25% カフェバー 60% 35% 25%
あくまで個人経営から大手企業まで様々な規模の平均値です。
人件費を抑えやすい業態・抑えにくい業態
業態によってサービスの提供スタイルが異なるため、必要なスタッフ数や求められるスキルが変わり、人件費率にも大きな差が生まれます。
人件費を抑えやすい業態の代表は焼肉店です。客が自ら調理する形式のため、ホールスタッフが少なくて済みます。ファーストフードやビュッフェ形式も同様に、セルフサービスを活用することで人件費率を20%台に抑えられるケースがあります。
一方、人件費がかかりやすい業態は高級レストランや日本料理店です。丁寧な接客・高度な調理技術が求められるため、スタッフの数と質が必要になります。スナックやガールズバーなども接客比率が高く、人件費率が高くなる傾向があります。
FLコストとは?計算方法とランク別の目安

人件費率だけを単独で見ていると、経営の本質を見失います。飲食店経営で重要なのは、食材原価と人件費を合わせたFLコストです。
FLコストの計算式と実例
F=原価(フードコスト)、L=人件費(レイバーコスト)の頭文字をとってFLコストと呼びます。
FLコスト(%)=(原価 + 人件費)÷ 売上 × 100
計算例:
- 原価:900,000円
- 人件費:750,000円
- 売上:3,000,000円
FLコスト=(900,000円 + 750,000円)÷ 3,000,000円 × 100=55.0%
一般的にはFLコストが売上の55%〜60%以内に収まることが望ましいとされています。
FLコストのランク別目安
| 55%以下 | 57% | 60% | 63% | 65%以上 |
|---|---|---|---|---|
| Sランク | Aランク | Bランク | Cランク | Dランク |
- Sランク(55%以下):最適なFLコスト管理が行われている状態です。顧客満足度を維持しながら経営しましょう。
- Aランク(57%):ほぼ理想的なコスト管理が実現されています。軽微な改善でさらなる効率化が可能です。
- Bランク(60%):一般的なレベルのコスト管理ですが、改善の余地があります。
- Cランク(63%):FLコストがやや高く、コスト削減の取り組みが必要です。
- Dランク(65%以上):FLコストが高すぎる状態です。早急な改善策が求められます。
同じ55%でも業態によって戦略が変わる

同じ55%のFLコストでも、業態によって内訳と経営戦略は大きく異なります。
焼肉店(例:原価35%、人件費20%)
原価が高い分、セルフサービスや効率的なオペレーションで人件費を抑えるのが基本戦略です。
ラーメン店(例:原価30%、人件費25%)
調理スピードが求められるためスタッフが必要ですが、効率的なオペレーションの導入で人件費をコントロールします。
居酒屋(例:原価28%、人件費27%)
原価と人件費がバランスよく分布する業態です。客席回転率を高めることが収益改善のポイントになります。
日本料理店(例:原価25%、人件費30%)
人件費が高くなりやすい業態です。高単価メニューや季節限定メニューで客単価を上げ、FLコストのバランスを取ります。
中華料理店(例:原価23%、人件費32%)
調理技術とスピードが求められるため人件費が高くなりやすい業態です。食材選定を工夫して原価を抑えることでバランスを取ります。
人件費率を管理する4つの指標
人件費率とFLコストだけでなく、以下の4つの指標を組み合わせて管理することで、より精度の高いコントロールが可能になります。
①人件費率
売上高に対する人件費の割合。目安は25%〜35%ですが業態によって異なります。まず自店の実績値を正確に把握することが第一歩です。
②労働分配率
売上高から原価を引いた粗利に対する人件費の割合です。
労働分配率(%)= 人件費 ÷ 粗利 × 100
飲食店の目安は40%前後とされています。人件費率だけでなく粗利との関係を把握することで、スタッフへの適正な報酬水準が見えてきます。
③労働生産性
スタッフ1人あたりが生み出す粗利の指標です。
労働生産性 = 粗利 ÷ スタッフ数
飲食店では月50万〜60万円程度が基準とされています。この数値が低い場合は、スタッフ配置や業務効率に改善の余地があります。
④人時生産性・人時売上高
スタッフ1人が1時間あたりに生み出す売上の指標です。
人時売上高 = 売上高 ÷ 総労働時間
一般的な目安は3,000〜4,000円とされています。複数店舗を運営している場合は、店舗間でこの数値を比較することで、各店の課題を明確にできます。
人件費率を適正化する5つの方法

人件費率を下げる方法として重要なのは、「削る」のではなく「生産性を上げる」という発想です。以下の5つの方法を組み合わせて取り組みましょう。
①シフト管理の最適化
忙しい時間帯に必要な人数を確保し、閑散期にはスタッフ数を絞る——この当たり前のことを精度高く実行することが人件費率改善の基本です。シフト管理ソフトを導入することで、売上データと連動した効率的なシフト設計が可能になります。
②クロストレーニングの実施
スタッフが複数の役割をこなせるようにトレーニングすることで、必要な人員数を減らすことができます。例えばホールスタッフがバーテンダー業務も担える体制にすることで、ピーク時の人員配置を効率化できます。
③魅力的な労働環境で定着率を上げる
パートやアルバイトが長期的に働き続けてくれる環境をつくることが、結果として人件費率の低下につながります。採用・教育コストは人件費とは別にかかるため、離職率が高いお店はその分だけコストが膨らみます。従業員満足度を高め、定着率を上げることが最も効果的な人件費対策の一つです。
④デジタルツールの導入による自動化
POSシステムやモバイルオーダーシステムの導入で、注文処理・会計業務を効率化できます。キッチン機器の自動化により調理時間と手間を削減することも有効です。
⑤人時生産性の目標管理
人時生産性の目標値を設定し、メニューの簡素化・作業効率化・IT導入・教育などの施策を講じたときにどれだけ数値が改善するかを分析しながら経営することが重要です。複数店舗を運営する企業は、店舗間で人時生産性を比較管理すると改善の優先順位が明確になります。
人件費を削減しすぎた場合のリスク

結論から言うと、人件費率が高いお店の多くは離職率が高く、人材不足に陥っています。パートやアルバイトが長期的に働き続けてくれる環境をつくることが、人件費率が低く、従業員満足度・顧客満足度・売上が高いお店への近道です。
顧客満足度が下がり、さらに人件費を削るスパイラル
スタッフの数を減らすことでサービスの質が低下し、顧客の不満を招き、売上が減少する悪循環が始まります。減少した人員でクレーム対応に追われることで他の業務も滞り、サービス全体の質がさらに低下します。初期の段階で顧客満足度の低下に対策を打つことが重要です。顧客満足度を維持しつつ、労働環境を改善する取り組みが求められます。
従業員満足度が下がり、人材不足に陥る
十分な報酬や福利厚生がないと、従業員はモチベーションを失い離職する可能性が高くなります。残ったスタッフに過度な負担がかかり、人材流出が加速するという悪循環にも陥りやすくなります。十分な報酬と働きやすい環境を提供することで、従業員満足度を高め、人材不足を防ぎましょう。
教育時間がなく、人が育たない=離職率が上がる
教育時間が不足すると新入スタッフがスキルを身につけられず、自信を持てないまま離職してしまいます。適切な教育時間を確保し、スタッフが成長できる環境を整えることが重要です。これにより従業員の定着率が上がり、長期的に見ても店舗運営が安定します。
生産性を上げることで結果として人件費が下がる

人件費を「削る」のではなく「生産性を上げて最適化する」という考え方が、持続可能な経営の基本です。具体的な取り組みとして、以下の5つが効果的です。
人事評価システムの導入
人事評価システムを導入することで、公正で透明な評価基準を持ち、従業員の満足度を高め、効率的な働き方を促進できます。スキルの不足や強化が必要な部門をデータで把握し、教育・トレーニング計画に活かすことができます。
教育マニュアルの作成
明確な教育マニュアルがあることで、教育担当者の負担が軽減され、一貫性のある教育が提供できます。接客・調理・清掃などをステップバイステップで記載することで新人が自分で学びやすくなります。ビデオや図解を取り入れると、より効果的です。
効果的なシフト管理
ピークタイムに合わせたシフト設計で、過不足のない人員配置が実現します。各スタッフの得意分野に応じてシフトを組むことで、業務効率もさらに向上します。
採用コストの最適化
ターゲットを絞った求人広告やSNSを活用した低コストの採用戦略により、採用にかかる経費を削減できます。定着率を高めることで採用頻度自体を下げることが、最も根本的な採用コスト削減策です。
管理業務のシステム化
シフト管理・在庫管理・給与計算などを専用ソフトで自動化することで、業務効率を大幅に向上できます。スタッフが本来の業務に集中できる環境が整うことで、顧客満足度の向上と売上アップにも貢献します。
人件費削減に役立つデジタルツール5選

生産性を高めるためのデジタルツールを積極的に活用することが、人件費率の適正化への近道です。ここでは特に効果的な5つのツールをご紹介します。
飲食店の全ての管理が一つに 飲食店DXツール「da Vinci:ダビンチ」

da Vinci(ダビンチ)は、営業日報・原価管理・発注業務・売上計画・予実管理・勤怠管理・理論原価・請求管理・会計管理が一つになった飲食店DXツールです。現場の店長はもちろん、事務担当者の人件費を圧倒的に削減できます。
- 効率化:発注、売上、請求などを一元管理し、自動的に指標を算出
- 生産性向上:作業のミスを減らし、スタッフの意欲を高める
- 経営支援:各店舗の特徴を数値化し、正確な判断を支援
- 簡単操作:複雑な操作が不要で、属人化を防ぎ誰でも使える
- 時間短縮:事務作業を大幅に削減し、経営と現場の負担を軽減
飲食店に特化したスタッフが成長する 人事評価システム「Newton:ニュートン」

Newton(ニュートン)は、飲食店に特化したタレントマネジメントと人事評価システムです。現場の作業効率を高め、スタッフの能力向上を支援します。教育カリキュラムを評価項目として活用でき、各役職ごとの成長確認が可能です。生産性の向上とスタッフの納得度が高まることで、結果として人件費率の適正化につながります。
- タレントマネジメント:スタッフの能力向上と教育支援
- 人事評価:データ化された評価で迅速な判断が可能
- 教育カリキュラム:評価項目を教育に活用し、成長を確認
- 作業効率化:紙やExcelからシステム化へ移行し、業務工数を削減
- 納得度向上:評価の透明性を高め、スタッフの納得度を向上
- 店舗運営支援:各役職ごとの評価基準を設け、運用の精度を高める
- 給与設計:ビジョンに合わせた給与設計が可能
予約・顧客管理システム
顧客の予約や来店履歴を一元管理するツールです。予約の受付・変更・キャンセルを効率的に処理し、顧客の好みや過去の利用履歴を把握してパーソナライズされた対応ができます。顧客満足度の向上とリピーター増加に貢献します。
モバイルオーダーシステム
顧客がスマートフォンやタブレットで注文するシステムです。待ち時間を減らしつつ、注文データがPOSシステムに自動連携されるためオーダーミスを防ぎ、業務効率化が図れます。ホールスタッフの負担軽減にも直結します。
配膳ロボット
センサーやAI技術を活用して料理・飲み物をテーブルまで自動運搬するロボットです。スタッフの作業負担を軽減し、サービスの効率化を図ることができます。ピーク時の人員不足を補う手段としても注目されています。
飲食店の人件費率・FLコストに関してのよくある質問
人件費率の一般的な目安と、自店の目標はどう設定すべきですか?
一般的な目安は25%〜35%で、業態や提供スタイルによって最適値は変わります。まず自店の実績を把握し、業態別の平均と比較したうえで、FLコスト全体のバランスを見ながら目標レンジを決めるのがポイントです。
FLコストの計算方法と目安は?
FLコスト=(原価+人件費)÷ 売上 × 100 で算出します。目安は売上の55%〜60%以内で、55%以下が最良、60%を超えると改善が必要という基準で定期的にモニタリングしましょう。
人件費率を下げる具体策は何がありますか?
シフト管理の最適化、クロストレーニング、働き続けやすい環境づくり、POSやモバイルオーダー等のデジタル化、人時生産性の目標管理と改善が有効です。無理な削減ではなく生産性向上で下げるのが基本です。
人件費を下げ過ぎるとどんなリスクがありますか?
サービス品質の低下→顧客満足度の悪化→売上減という悪循環や、負荷増大による従業員満足度の低下・離職、教育時間不足で人が育たないなどのリスクがあります。適正人員と教育投資を維持することが重要です。
生産性を上げて結果的に人件費を抑えるには何をすべきですか?
人事評価システムの導入、教育マニュアル整備、効果的なシフト設計、採用コストの最適化、管理業務のシステム化などを組み合わせます。da VinciやNewton、予約・顧客管理、モバイルオーダー、配膳ロボット等のツール活用が効果的です。
まとめ:人件費率は「削る」より「最適化」する

飲食店の人件費率の適正化は、単純なコスト削減ではなく「生産性向上を通じた最適化」が正しいアプローチです。この記事で解説した内容を改めて整理します。
- 人件費率の目安は25〜35%だが、法定福利費まで含めた正確な計算が重要
- 業態によって人件費率の適正値は大きく異なるため、自店の業態に合わせた目標設定が必要
- FLコストは55%以下を目指し、業態ごとのバランス戦略を持つことが重要
- 人件費率・労働分配率・労働生産性・人時生産性の4指標を組み合わせて管理する
- 削減しすぎると離職・サービス低下・採用コスト増加という悪循環に陥る
- デジタルツールの活用と人事評価の整備で生産性を上げることが根本的な解決策
最近では補助金が使えるITツールも増えており、安価で高機能なシステムが導入しやすくなっています。まずは自店のFLコストと各指標の現状を把握することから始めてみてください。
人件費率を改善したい飲食店経営者に「ニュートン」

「人件費率が高いのにスタッフが育たない」「評価基準が曖昧で離職が続く」——そんな課題を抱えている飲食店経営者の方に、人事評価システム『ニュートン』をご紹介します。
ニュートンは、飲食店に特化した人事評価制度の構築と運用を支援するシステムです。アルバイトから社員まで、従業員一人ひとりの能力や姿勢を「見える化」し、育成計画とつなげることで、スタッフの定着率向上と生産性改善を同時に実現します。
ニュートン導入のメリット
- 明確な評価基準で「公平性」と「納得感」を実現し、離職率の低下に貢献
- 評価結果をもとにしたフィードバックでスタッフのモチベーションが向上
- 昇給・昇格・教育方針を一貫して設計し、人件費の最適化を実現
- 誰もが使いやすいUIと現場にフィットした運用設計
- 管理職の”感覚評価”から脱却し、データに基づいた組織マネジメントを実現
スタッフが育ち、辞めずに定着する環境をつくることが、人件費率の適正化への最も確実な道です。人件費の最適化を検討しているなら、まずは「ニュートン」から始めてみませんか?
この記事を書いたライター
Newton編集部
飲食店の人事に役立つ情報を発信していきます。人材から人材へ、人が育つ人事評価システムNewtonとは、飲食店に特化したタレントマネジメント+人事評価システムです。
管理者の人事管理のパフォーマンスを上げるだけでなく、スタッフのモチベーションアップや、離職率の低下、企業にとっての人材を守るシステムです。詳しくはこちら






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