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飲食店の損益分岐点の計算方法|固定費・変動費の分け方から下げ方まで解説
2026/09/09
飲食店の損益分岐点とは、売上と費用がちょうど等しくなり、利益がゼロになる売上高のことです。計算式は「固定費÷(1−変動費率)」で、固定費と変動費を正しく分けられれば、電卓ひとつで自店の黒字ラインを算出できます。
ただ、実際に計算しようとすると「アルバイトの人件費は固定費と変動費のどちらに入れるのか」「水道光熱費はどう扱うのか」といった仕分けの段階でつまずく方が少なくありません。
せっかく計算しても、月に1回眺めるだけで日々の営業に活かせていないケースも多く見られます。
この記事の要約
- 損益分岐点の計算式と、月売上300万円の店を例にしたシミュレーション
- 迷いやすい固定費・変動費の分け方(アルバイト人件費の扱いも整理)
- 損益分岐点を下げる3つの方法と、1日の必要売上・客数への落とし込み方
自店の数字をリアルタイムで把握したい方には、da Vinciの資料ダウンロード(無料)もご用意しています。
この記事は、飲食店経営の現場を知り尽くした経営者が開発した日次PLツール「da Vinci」の編集部が、現場で実際に数字を追ってきた経験をもとに執筆しています。
読み終える頃には、ご自身のお店の黒字ラインを具体的な金額で言えるようになるはずです。
飲食店の損益分岐点とは?計算の前に押さえる基本

損益分岐点の定義|利益がゼロになる売上高のこと
損益分岐点とは、売上高と費用の合計がちょうど等しくなり、利益がゼロになる売上高のことです。
この金額を1円でも上回れば黒字、下回れば赤字になります。
いわば、お店の「黒字ラインと赤字ラインの分かれ目」です。
例えば損益分岐点が月200万円の店なら、月商250万円のときは差額の範囲で利益が生まれています。
逆に月商180万円なら、どれだけ忙しく感じても赤字という判断になります。
損益分岐点がわかると経営の何が変わるのか
損益分岐点を把握すると、日々の判断に「基準となる数字」ができます。
感覚ではなく金額で線を引けるため、判断のスピードアップにつながります。
具体的には、次のような場面で役立ちます。
- 月の売上目標を「あといくら必要か」という根拠のある数字で設定できる
- 1日あたり・客数あたりの必要ラインに落とし込み、現場と共有できる
- 家賃や仕入の条件が変わったとき、経営への影響をすぐ試算できる
- 値上げやメニュー改定の判断材料になる
「席は埋まっているのに、月末になるとお金が残らない」と感じる店の多くは、この黒字ラインを金額で持っていないケースが多いです。
まずは自店の損益分岐点を1つの数字として持つことが、数値管理の第一歩になります。
なお、損益分岐点は予算と実績を管理する「予実管理」の土台となる数字です。
予実管理の全体像は、こちらの記事で詳しく解説しています。
飲食店の損益分岐点の計算方法|計算式と手順

計算式:損益分岐点売上高=固定費÷(1−変動費率)
損益分岐点売上高は、次の計算式で求められます。
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷(1 − 変動費率)
変動費率は「変動費 ÷ 売上高」で計算します。
式に使う数字は2つだけです。
| 用語 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 固定費 | 売上に関係なく毎月かかる費用 | 家賃、正社員の人件費、リース料 |
| 変動費 | 売上に比例して増減する費用 | 原価(食材・ドリンクの仕入)、消耗品費 |
| 変動費率 | 売上に対する変動費の割合 | 変動費105万円÷売上300万円=35% |
なお「1−変動費率」は限界利益率と呼ばれます。
変動費の中心が原価である飲食店では、粗利率とほぼ同じ意味で使われることが多いです。
原価率30%の店なら、限界利益率はおよそ70%と考えられます。
具体例でシミュレーション|月売上300万円の店の場合
実際の数字を当てはめてみましょう。
次のような店を想定します。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 月間売上高 | 300万円 |
| 固定費 (家賃30万+正社員人件費60万+リース・減価償却20万+その他20万) |
130万円 |
| 変動費 (原価90万+アルバイト人件費等15万) |
105万円 |
まず変動費率を求めます。
変動費率 = 105万円 ÷ 300万円 = 35%
次に計算式へ当てはめます。
損益分岐点売上高 = 130万円 ÷(1 − 0.35)= 130万円 ÷ 0.65 = 200万円
この店は月200万円が黒字ラインです。
現在の月商300万円なら、100万円分が利益の源泉になっていると読めます。
逆に、もし月商が190万円まで落ちれば赤字転落という危険信号になります。
損益分岐点比率・安全余裕率もあわせて確認する
損益分岐点は、実際の売上と比べてはじめて意味を持ちます。
そこで使うのが次の2つの指標です。
- 損益分岐点比率(%)= 損益分岐点売上高 ÷ 実際の売上高 × 100
- 安全余裕率(%)= 100 − 損益分岐点比率
先ほどの例では、200万円 ÷ 300万円 × 100 = 約67%が損益分岐点比率、安全余裕率は約33%です。
損益分岐点比率が低いほど、売上が多少落ちても赤字になりにくい経営といえます。
一般に80%以下であれば比較的余裕があり、90%を超えると売上の少しの落ち込みで赤字に転じやすい状態とされています。
固定費・変動費の分け方|飲食店の費用一覧

損益分岐点の計算で最もつまずきやすいのが、費用の仕分けです。
ここを曖昧にすると計算結果そのものがずれるため、丁寧に整理します。
固定費に含まれるもの
固定費は、売上がゼロでも発生する費用です。
飲食店では次のようなものが該当します。
- 家賃・共益費
- 正社員の人件費(給与・賞与・法定福利費)
- リース料・減価償却費
- 水道光熱費の基本料金部分
- 保険料・借入金の支払利息
- 通信費・サブスク型のシステム利用料
固定費は一度契約すると簡単には減らせません。
開業時や契約更新時の判断が、その後の損益分岐点を長期間左右します。
変動費に含まれるもの
変動費は、売上の増減に比例して動く費用です。
- 原価(食材・ドリンクの仕入)
- 割り箸・おしぼり・テイクアウト容器などの消耗品費
- キャッシュレス決済の手数料
- 水道光熱費のうち使用量に応じて増える部分
飲食店の変動費の大部分は原価です。
細かい費目の判定に迷う場合は、まず「原価=変動費、それ以外=固定費」という簡便な分け方から始めても、実用上は大きな支障がありません。
精度は運用しながら上げていけば十分です。
アルバイト人件費は固定費・変動費どちらに入れるか
仕分けで最も意見が分かれるのが、アルバイト・パートの人件費です。
結論としては、どちらの扱いも間違いではなく、自店の運用に合わせて決めて、決めたら固定することが重要です。
| 扱い方 | 向いている店 | 注意点 |
|---|---|---|
| 変動費に入れる | 繁閑に合わせてシフトを柔軟に増減させている店 | 実態に近い数字が出るが、集計の手間が増える |
| 固定費に入れる | シフトがほぼ一定で、月の人件費が安定している店 | 計算が簡単だが、繁忙期に実態とずれやすい |
危険なのは、扱いを曖昧にしたまま原価率だけを見て安心してしまうケースです。
忙しい時期にアルバイトを厚く入れると、変動費が想定より膨らみ、計算上は黒字ラインを超えているのに実際は赤字だったという事態が起こり得ます。
どちらに入れたかを明確にし、毎月同じ基準で計算することが、損益分岐点を「使える数字」にする条件です。
da Vinciの開発チームが運営する店舗では、アルバイト比率の高い業態のためアルバイト人件費を変動費として扱っています。繁忙期と閑散期でシフト量の差が大きい店ほど、変動費扱いにしたときの計算精度の差が実感しやすいというのが現場での感覚です。一方、家族経営に近い小規模店であれば、固定費扱いの簡便な計算で十分なケースが多いと考えられます。
損益分岐点を1日の売上・客数に落とし込む方法

月単位の損益分岐点は、そのままでは日々の営業判断に使いにくい数字です。
1日あたり・客数あたりに分解することで、現場と共有できる目標に変わります。
1日あたりの必要売上を計算する
計算はシンプルで、損益分岐点売上高を月の営業日数で割るだけです。
1日あたりの必要売上 = 損益分岐点売上高 ÷ 月の営業日数
先ほどの例(損益分岐点200万円)で、営業日数が25日の場合は次のようになります。
200万円 ÷ 25日 = 8万円
この店は「1日8万円」が黒字ラインです。
営業終了後にその日の売上と見比べれば、今日が黒字ペースだったかを毎日判断できます。
月末を待たずに手を打てるのが、この分解の最大の利点です。
客単価から必要客数を逆算する
1日の必要売上がわかれば、客単価で割ることで必要客数まで落とし込めます。
1日あたりの必要客数 = 1日あたりの必要売上 ÷ 客単価
客単価2,000円の店なら、8万円 ÷ 2,000円 = 40人が1日の黒字ラインです。
ランチとディナーで客単価が違う店は、時間帯別に分けるとさらに実用的になります。
例えば平均客単価2,000円の内訳として、ランチとディナーに目標を分けると次のようになります。
| 時間帯 | 目標売上 | 客単価 | 必要客数 |
|---|---|---|---|
| ランチ | 3万円 | 1,000円 | 30人 |
| ディナー | 5万円 | 2,500円 | 20人 |
「今日はあと5人」という具体的な数字になれば、スタッフとも共有しやすく、声かけや回転の工夫といった現場の行動につながります。
なお、損益分岐点はあくまで「赤字にならない最低ライン」です。
目標利益を上乗せした売上目標の立て方は、こちらの記事で詳しく解説しています。
損益分岐点を下げる3つの方法

損益分岐点は低いほど、少ない売上でも利益が出る体質になります。
計算式の構造上、下げる方法は「固定費を下げる」「変動費率を下げる」「売上の質を上げる」の3つに整理できます。
① 固定費を見直す
計算式の分子である固定費が下がれば、損益分岐点は直接下がります。
先ほどの例で固定費が130万円から117万円に下がると、117万円 ÷ 0.65 = 180万円となり、黒字ラインは20万円低くなります。
見直しの候補としては、次のようなものがあります。
- 家賃の交渉、契約更新時の条件見直し
- リース契約・サブスク型サービスの棚卸し(使っていない契約の解約)
- 電力会社・通信プランの切り替え
- 保険の重複チェック
固定費は一度下げれば効果が毎月続きます。
即効性は低くても、優先的に取り組む価値があります。
② 変動費(原価率)を見直す
変動費率が下がると、計算式の分母(1−変動費率)が大きくなり、損益分岐点が下がります。
飲食店の変動費の中心は原価なので、実務上は原価率の改善が中心になります。
- 食材ロス・廃棄の削減(仕込み量の見直し、在庫管理の徹底)
- 仕入先・仕入価格の定期的な見直し
- 歩留まりの改善(食材を使い切るメニュー設計)
- 高原価メニューと低原価メニューの注文バランス調整
注意したいのは、品質を落として原価を削る方法です。
客離れによる売上減少を招けば、損益分岐点を下げても意味がなくなります。
原価は「削る」より「無駄をなくす」が基本です。
実際に、da Vinciを導入した複数店舗展開の飲食企業では、日々の数字を追う体制に変えたことで原価率を平均7%削減し、損益分岐点を大きく引き下げることにつながりました。数字が毎日見えるだけで、発注量や仕込み量に対する現場の意識が変わった例です。
③ 客単価・売上構成を見直す
値上げやセットメニュー化で客単価が上がると、同じ客数でも売上が増え、相対的に損益分岐点比率が下がります。
また、ドリンクやサイドメニューなど限界利益率の高い商品の注文が増えるよう構成を変えることも、変動費率の改善につながります。
3つの方法は同時に進められます。
固定費で10万円、原価率で2%、客単価で100円といった小さな改善の組み合わせでも、損益分岐点は着実に下がっていきます。
損益分岐点は「月1回の計算」で終わらせない

月次計算だけでは対策が1ヶ月遅れる理由
多くの店では、損益分岐点を計算しても月末の締め作業で1回確認するだけになりがちです。
しかし月次だけの管理には構造的な弱点があります。
月の前半で赤字ペースに陥っていても、気づくのは月末の集計後。
対策を打てるのは翌月からになり、赤字の1ヶ月が確定してしまいます。
飲食店は天候・曜日・イベントで日々の売上が大きく振れる業態です。
だからこそ、黒字ラインとの距離を確認する頻度が、対策の速さをそのまま左右します。
日次PLで黒字ラインを毎日確認する運用
理想は、1日あたりの必要売上(先ほどの例なら8万円)を基準に、毎日の実績と突き合わせる運用です。
日々の売上・原価・人件費から簡易的な損益(日次PL)を出せば、「今日は黒字ペースか」を営業終了後すぐに判断できます。
da Vinciの開発チームが店舗を支援するなかでも、月次集計だけの運営では「気づいたときには月が終わっていた」という声が最も多く聞かれます。日次で数字を追う体制に変えた店舗では、仕込み量やシフトの調整が週単位で回るようになり、月末を待たずに軌道修正できるようになったというケースが見られます。
日次PLの具体的な作り方や項目は、こちらの記事で詳しく解説しています。
飲食店の損益分岐点に関するよくある質問

損益分岐点は毎月計算し直すべきですか?
毎月の見直しをおすすめします。
食材価格の高騰や最低賃金の上昇、光熱費の変動により、固定費・変動費率は常に動いているためです。
前月の実績数値で更新するだけなら数分で済みます。
数字が大きく動いたときは、原因の確認が経営改善のヒントになります。
開業前でも損益分岐点は計算できますか?
計算できます。
物件の家賃、想定する人員体制、業態の一般的な原価率から、固定費と変動費率を見積もれば算出可能です。
開業前に黒字ラインを把握しておくと、必要売上に対して席数や営業時間が現実的かを事前に検証でき、事業計画の精度が上がります。
損益分岐点比率の目安はどれくらいですか?
一般に80%以下であれば売上の変動に耐えやすく、90%を超えると少しの売上減で赤字に転じやすい状態とされています。
まず自店の比率を算出し、80%以下を目指して固定費・変動費の改善を進めるのが現実的な進め方です。
数字が苦手でも管理できますか?
十分に管理可能です。
使う式は「固定費÷(1−変動費率)」の1つだけで、複雑な会計知識は不要です。
計算や集計の手間が負担になる場合は、売上・原価・人件費を入力するだけで日々の損益が自動計算されるツールを使う方法もあります。
まとめ|損益分岐点の計算は黒字経営の第一歩

損益分岐点は、固定費÷(1−変動費率)で求められる、黒字と赤字の分かれ目となる売上高です。
本記事の要点を整理します。
- 損益分岐点がわかると、売上目標・値付け・シフトの判断に「基準の金額」ができる
- 計算のつまずきどころは費用の仕分け。迷ったら「原価=変動費、それ以外=固定費」から始める
- アルバイト人件費は変動費・固定費どちらでもよいが、基準を決めたら毎月固定する
- 営業日数と客単価で割れば、1日の必要売上・必要客数まで落とし込める
- 下げる方法は固定費・変動費率・客単価の3方向。小さな改善の組み合わせで着実に下がる
- 月1回の計算で終わらせず、日次で黒字ラインとの距離を確認する運用が対策の速さを生む
まずは直近1ヶ月の数字で、自店の損益分岐点を計算してみてください。
黒字ラインが1つの金額として見えるだけで、日々の判断は確実に変わります。
飲食店の損益分岐点管理は「da Vinci」で一元化しよう

損益分岐点の計算自体は電卓ひとつでできます。
しかし、日々の売上・原価・人件費を集計し、黒字ラインとの距離を毎日確認し続けるのは、手作業ではかなりの負担です。
この「継続」の部分を仕組みで解決するのが、飲食店専用のツール導入です。
「da Vinci(ダ・ヴィンチ)」は、飲食店経営の現場を知り尽くした経営者が開発した、飲食店特化のクラウド経営支援ツールです。
以下のような機能・特長で、オーナー様・店長様の負担を大幅に軽減します。
- 日次PLの自動作成
売上・原価・人件費が毎日自動で集計され、その日の損益がすぐにわかります。黒字ラインとの距離を毎日確認する運用が、手間なく実現できます。 - POSレジ連携で売上・客数を自動集計
売上や客数の手入力は不要です。客単価や必要客数の逆算に使う数字が、常に最新の状態で手に入ります。 - 全店舗クラウド一元管理・リアルタイム把握
複数店舗の損益状況を、本部やオーナーが離れた場所からリアルタイムで確認できます。店舗ごとの損益分岐点管理にも対応できます。 - ITの知識不要・継続サポート
ネット検索ができる程度のスキルで使え、導入後も担当サポートが継続して伴走します。数字が苦手な方でも安心して始められます。
「黒字ラインを毎日把握できる店にしたい」「どんぶり勘定から抜け出したい」
そんな方は、ぜひ飲食店特化の日次PLツール「da Vinci」をご検討ください。
この記事を書いたライター
ダヴィンチ編集部
「データ入力」から「日次PL」、そして「経営の打ち手」まで、ワンストロークで。
ダ・ヴィンチは、飲食店経営の現場課題を骨の髄まで知るオーナーたちが開発した、現場目線の経営支援ツールです。
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