予実管理とは、あらかじめ立てた予算(計画)と実績を比較し、差異の原因を分析して次の行動に活かす一連のプロセスのことです。飲食店の予実管理は、売上・原価・人件費・利益の4つの数字を「予算はいくらか、実績はどうだったか、なぜ […]
飲食店のFLコストとは?目安は55〜60%|計算方法とランク別基準を解説
2026/09/23
FLコストとは、飲食店の経費の大部分を占めるF(原価・フードコスト)とL(人件費・レイバーコスト)を合計したコストのことです。売上に対するFLコストの割合をFL比率と呼び、目安は売上の55〜60%以内、55%以下に収まっていれば良好な経営状態と判断できます。
ただ、「60%以下ならひとまず安心」という大まかな基準だけでは、自店が良い状態なのか、危険水域に近いのかまでは判断できません。
同じ「60%未満」でも、55%の店と59%の店では経営の余裕がまったく違うためです。
この記事の要約
- FLコストの意味と、目安が55〜60%になる理由(損益構造からの逆算)
- 自店の現在地がわかるFL比率のランク別基準(S〜Dの5段階)
- 月売上300万円の店を例にした計算方法と、60%を超えたときの改善の考え方
自店のFL比率を日々の数字から把握したい方には、da Vinciの資料ダウンロード(無料)もご用意しています。
この記事は、飲食店経営の現場を知り尽くした経営者が開発した日次PLツール「da Vinci」の編集部が、現場で実際にFLを管理してきた経験をもとに執筆しています。
読み終える頃には、自店のFL比率がどのランクにあり、次に何をすべきかが判断できるようになるはずです。
飲食店のFLコストとは?経費の大部分を占める2つのコスト

F=原価(フードコスト)、L=人件費(レイバーコスト)
FLコストとは、飲食店の2大コストである原価と人件費を合計したものです。
| 記号 | 意味 | 含まれるもの |
|---|---|---|
| F(Food) | 原価(フードコスト) | 食材・ドリンクの仕入にかかる費用 |
| L(Labor) | 人件費(レイバーコスト) | 給与・賞与のほか、時間外手当・交通費・社会保険料・福利厚生費など人にかかる費用全般 |
飲食店の経費のうち、この2つで全体の半分以上を占めるのが一般的です。
だからこそ、FLコストの管理が経営の成否を大きく左右します。
FL比率|売上に対するFLコストの割合
FLコストそのものは金額なので、店の規模が違えば単純に比べられません。
そこで使うのが、売上に対する割合で見るFL比率です。
FL比率(%)=(原価 + 人件費)÷ 売上高 × 100
同じFLコスト180万円でも、売上300万円なら60%、売上360万円なら50%です。
金額ではなく比率で見ることで、店の規模に関係なく経営状態を判定できます。
なぜFLコストが飲食店経営の最重要指標なのか
理由はシンプルで、FLコストは「大きくて、動かせる」コストだからです。
家賃は大きいコストですが、契約後はほぼ動かせません。
水道光熱費や消耗品費は日々の工夫で動かせますが、金額が小さく効果が限られます。
その点、原価と人件費は金額が大きく、かつ仕入・仕込み・シフトの工夫で日々コントロールできる、唯一の「大きくて動かせる」領域です。
FL比率を適正に保てるかどうかが、利益が残る店と残らない店の分かれ目になります。
FLコストの目安は55〜60%|数字の根拠を構造から理解する

目安が55〜60%になる理由|損益構造からの逆算
FL比率の目安は、売上の55〜60%以内です。
この数字は経験則ではなく、飲食店の損益構造から逆算すると導かれます。
売上を100%として、そこから支払うものを並べてみます。
| 項目 | 売上に対する割合の目安 |
|---|---|
| 家賃 | 10%前後 |
| 水道光熱費・消耗品・販促・雑費などその他経費 | 20〜25%前後 |
| 確保したい営業利益 | 10% |
| 残り=FLコストに使える上限 | 55〜60% |
つまり「FL比率55〜60%」とは、家賃とその他経費を払い、目標である利益10%をきちんと残すために逆算された現実的な上限なのです。
この構造を知っておくと、なぜ60%を超えると苦しくなるのかが感覚ではなく理屈でわかります。
55%以下が最良、60%超は改善が必要なサイン
目安の中でも、目指したいのは55%以下です。
55%以下に収まっていれば、固定費を払っても利益がしっかり残る、余裕のある経営状態といえます。
一方、60%を超えると、売上が伸びていても固定費を吸収しきれず「忙しいのに利益が残らない」状態に陥りやすくなります。
65%以上になると赤字リスクが高く、早急な改善が必要な水準です。
FLR比率|家賃を加えた70%も合わせて確認する
FLコストにR(Rent・家賃)を加えたものがFLRコストです。
FLR比率の目安は70%前後(FL60%+家賃10%)とされています。
家賃は開業後にほぼ動かせないため、FLR比率は主に出店・移転の判断で使われます。
すでに営業中の店であれば、動かせるFL比率の管理に集中するのが実務的です。
固定費と利益の関係を詳しく確認したい場合は、損益分岐点の計算が役立ちます。
FL比率のランク別基準|自店の現在地を5段階で判定する

S〜Dランクの判定基準一覧
「60%以下かどうか」の一点基準では、55%の店と59%の店が同じ扱いになってしまいます。
自店の現在地をより正確に把握するために、FL比率を5段階のランクで判定する方法をおすすめします。
| ランク | FL比率 | 状態 |
|---|---|---|
| S | 55%以下 | 最良。利益がしっかり残る理想的な状態 |
| A | 57% | 良好。安定した利益を確保できている |
| B | 60% | 標準。ここを超えないことが最低ライン |
| C | 63% | 要改善。利益が残りにくくなっている |
| D | 65%以上 | 危険水域。早急な改善が必要 |
ランク別の状態と取るべき方向性
- S・Aランク
現状維持が基本。品質を落としてまでさらに下げる必要はなく、下げすぎによる顧客満足度の低下にむしろ注意します。 - Bランク
標準圏ですが余裕は大きくありません。FとLの内訳を確認し、どちらかに偏りがないかを点検します。 - Cランク
利益を圧迫している状態です。FとLを分解し、重いほうから改善に着手します。 - Dランク
固定費を払うと手元にほぼ残らない水準です。原価・シフト・メニュー構成をまとめて見直す必要があります。
まず自店の直近1ヶ月のFL比率を計算し、どのランクにいるかを確認することが第一歩です。
FとLのバランスは業態で変わる|30%・30%にこだわらない
FL比率の内訳は「F30%・L30%」が定番の目安として語られますが、実際のバランスは業態によって大きく異なります。
| 業態の傾向 | FとLのバランス例 |
|---|---|
| 焼肉・ステーキなど食材が主役の業態 | Fが35〜40%と高め、Lを抑えて合計を収める |
| カフェ・バーなどドリンク中心の業態 | Fは20%台に抑えやすく、Lに余裕を配分できる |
| 高級レストランなど接客が価値の業態 | Lが30%超になりやすく、Fとのバランスで調整 |
大切なのは内訳の形ではなく、合計が55〜60%以内に収まっていることです。
「原価30%を超えているからダメ」と単品の数字だけで判断せず、FLの合計で見る癖をつけてください。
da Vinciの開発チームが運営する焼肉店でも、良質な肉を提供する業態の特性上、Fは一般的な目安の30%より高くなります。その分、仕込みのオペレーションや時間帯別のシフト設計でLを圧縮し、FLの合計で基準内に収める考え方で管理しています。内訳の形は店の強みに合わせて決め、合計で守る。これが現場での実践的なFL管理です。
FLコストの計算方法|月売上300万円の店でシミュレーション

計算式:FL比率=(原価+人件費)÷売上高×100
必要な数字は3つだけです。
FL比率(%)=(原価 + 人件費)÷ 売上高 × 100
月の売上高、原価(食材・ドリンクの仕入)、人件費の合計がわかれば、すぐに計算できます。
具体例で計算してみる
次のような店を例にします。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 月間売上高 | 300万円 |
| 原価 | 90万円 |
| 人件費 | 90万円 |
FL比率 =(90万円 + 90万円)÷ 300万円 × 100 = 60%
この店はBランク(標準・最低ライン上)です。
もし翌月に原価が96万円へ上がれば、FL比率は62%となりCランク圏に入ります。
売上が330万円に伸びれば約54.5%でSランク圏です。
このように、FL比率は仕入・シフト・売上のわずかな変化で1〜2%単位で動きます。
計算するときの注意点|人件費に含める範囲
計算でつまずきやすいのが、Lに何を含めるかです。
給与だけでなく、時間外手当・交通費・社会保険料・福利厚生費など、人にかかる費用はすべて含めるのが正確な計算です。
給与だけで計算するとFL比率が実態より低く見え、「Bランクのつもりが実はCランクだった」という判断ミスにつながります。
含める範囲を決めたら、毎月同じ基準で計算することが大切です。
FL比率が60%を超えたときの改善の考え方

まずFとLのどちらが重いかを分解する
FL比率が高いとわかっても、「FLを下げよう」のままでは動けません。
最初にやるべきは、FとLのどちらが目安から乖離しているかの分解です。
- Fが重い場合
食材ロス・過剰仕込み・仕入価格の上昇・値付けのずれが主な原因候補です。 - Lが重い場合
閑散時間帯の過剰シフト・残業の常態化・売上に対する人員配置のずれが原因候補です。
原因の場所がわかれば、打ち手は自然に絞られます。
F(原価)側の改善方向|削るよりロスをなくす
F側の改善で最初に手をつけるべきは、仕入価格の交渉ではなく廃棄・ロスの削減です。
使い切れずに捨てている食材は、原価率をそのまま押し上げます。
仕込み量の見直し、在庫の把握、食材を使い回せるメニュー設計が基本の方向性です。
品質を落として原価を削る方法は、客離れを招いて売上側からFL比率を悪化させる逆効果になりかねません。
「削る」より「ムダをなくす」が原則です。
L(人件費)側の改善方向|人を減らすよりムダな時間を減らす
L側も同様に、単純な人減らしはサービス低下と離職を招きます。
見るべきは時間帯別の売上と人員配置のズレです。
閑散時間帯に人が厚く、繁忙時間帯に薄いという配置のゆがみを直すだけで、サービスを落とさずにLを圧縮できます。
人件費率の目安と具体的な下げ方は、こちらの記事で詳しく解説しています。
FL比率は「月末に1回」では手遅れになる

月平均のFL比率が隠してしまうもの
FL比率を月末に1回計算する運用には、大きな落とし穴があります。
月平均の数字は、日々の偏りを均してしまうのです。
例えば月平均でFL比率58%(Aランク圏)の店でも、中身を見ると平日は55%、週末だけ64%ということがあります。
月平均だけ見ていれば「良好」で終わりますが、実際には週末のシフトか仕込みに改善余地が眠っています。
日次でFLを追うと改善が速くなる
売上・原価・人件費を日単位で把握すれば、FL比率の異変にその週のうちに気づけます。
「昨日はFが重かった、原因は廃棄」「金曜のLが毎週高い、シフトを1名調整」。
この粒度で回せると、月末の集計を待つ運用とは改善の速度が大きく変わります。
FL比率のランク判定は月次で、原因の発見と修正は日次で。
この二段構えが、FLを「知っている」から「動かせる」に変える運用です。
実際に、da Vinciを導入した複数店舗展開の飲食企業では、日々の数字を追う体制に変えたことで原価率を平均7%削減しました。FL比率でいえばランクが2段階以上変わる規模の改善です。月平均の数字を眺める管理から、日々の偏りを見つけて潰す管理への移行が、この差を生みました。
数字を予算と突き合わせて管理する予実管理の全体像は、こちらの記事で解説しています。
日次の損益管理の具体的な方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。
飲食店のFLコストに関するよくある質問

FL比率は低ければ低いほど良いのですか?
一概にはいえません。
FL比率が低すぎる店は、原価を削りすぎて商品の魅力が落ちていたり、人員を絞りすぎてサービスが低下していたりする可能性があります。
品質を保ちながら55%前後を維持するのが健全な姿で、下げること自体を目的にしないことが大切です。
オーナー自身の人件費はLに含めますか?
含めて計算することをおすすめします。
含めずに計算するとFL比率は低く見えますが、実態はオーナーの労働で数字を補っている状態です。
自分の給料を含めた数字で目安と比べることで、事業としての実力を正しく判定できます。
業態によって目安は変わりますか?
FとLの内訳バランスは業態で大きく変わりますが、合計55〜60%以内という目安は業態を問わず共通の基準として使えます。
食材が主役の業態はFを高くLを抑える、接客が価値の業態はその逆、というように内訳で調整してください。
FL比率を毎日計算するのは大変ではないですか?
手計算やExcelで毎日集計するのは負担が大きく、続かないケースが多いのが実情です。
POSレジや日次PLツールを使えば、売上・原価・人件費の集計から比率の計算までを自動化でき、確認するだけの運用にできます。
まずは月1回の計算から始め、慣れたら日次に移行する進め方でも問題ありません。
まとめ|FL比率は「知る」から「毎日動かす」へ

FLコストは、飲食店の経費の大部分を占める原価と人件費の合計です。
本記事の要点を整理します。
- FL比率=(原価+人件費)÷売上高×100。金額でなく比率で見る
- 目安は55〜60%以内。家賃・経費・利益からの逆算で導かれる構造的な数字
- S(55%以下)〜D(65%以上)のランクで自店の現在地を判定する
- 内訳のF30%・L30%は絶対ではない。業態に合わせ、合計で収める
- 60%超のときはFとLを分解し、重いほうから「ムダをなくす」方向で改善する
- 月平均は偏りを隠す。判定は月次、原因発見と修正は日次の二段構えで
まずは直近1ヶ月の数字で自店のFL比率を計算し、ランクを確認してみてください。
現在地がわかれば、次の一手はおのずと見えてきます。
飲食店のFLコスト管理は「da Vinci」で一元化しよう

FL比率の計算式はシンプルですが、原価と人件費を日々集計し、ランクの変動や日ごとの偏りまで追い続けるのは、手作業では大きな負担です。
この「毎日FLが見える状態」を仕組みで実現するのが、飲食店専用のツール導入です。
「da Vinci(ダ・ヴィンチ)」は、飲食店経営の現場を知り尽くした経営者が開発した、飲食店特化のクラウド経営支援ツールです。
以下のような機能・特長で、オーナー様・店長様の負担を大幅に軽減します。
- 日次PLの自動作成
売上・原価・人件費が毎日自動で集計され、FL比率の変化に週の途中で気づけます。月末待ちのFL管理から卒業できます。 - 原価率の自動計算
Fの重さを日々把握でき、食材ロスや仕入の変化にすぐ対応できます。 - 人件費の見える化
時間帯別の人員配置と売上のズレが数字でわかり、Lのムダの発見につながります。 - ITの知識不要・継続サポート
ネット検索ができる程度のスキルで使え、導入後も担当サポートが継続して伴走します。数字が苦手な方でも安心して始められます。
「自店のFLランクを毎日把握できる店にしたい」「FとLのどちらが重いのかすぐわかる状態にしたい」
そんな方は、ぜひ飲食店特化の日次PLツール「da Vinci」をご検討ください。
この記事を書いたライター
ダヴィンチ編集部
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